〔労働新聞 第2993号(平成26年11月17日発行)より〕
埼玉労働局は、過労死等の労災請求があった43事業場(長時間労働を原因とする精神疾患に基づく請求も対処に含む)に対する平成25年度監督指導結果を公表
監督指導の対象は同県内で25年度を中心に労災請求があった43事業場。過労死等のほか、長時間労働を原因とする精神疾患に基づく請求も対象に含んでいる。 法違反が最も多かったのは労働時間関連で27事業場に上る。違反内容のほとんどは36協定の限度を超えていたものだった。 次いで違反が多かったのは割増賃金で18事業場だった。残業時間は自己申告制としていたものの、きちんと申告させていなかった例や、固定残業代の超過分を支払っていない例があった。 業種別の監督実施数では運輸交通業が11事業場と最多で、そのうち10事業場で違反がみつかった。9事業場で労働時間関連の違反が発覚している。運転手が月200時間の残業を行っていた例のほか、運送会社支店長自らが事務所で運行管理をしたために、長時間労働となって労災請求をしていたケースも確認した。「ドライバー不足のために長時間労働せざるを得ない」と話す事業主もいる。 製造業で監督対象となったのは7事業場で、うち6事業場で違反していた。労災請求はシステム開発者がほとんどである。 監督指導の直近1カ月の労働者の最長労働時間を調べると、3割に当たる13事業場で労災認定基準である月80時間を超える時間外労働を行っていた時期と請求までには時差があり、実際にはさらに多くの労働者が80時間以上の残業をしていたと考えられる。