(Q)所有しているアパートの入居者Aの子供が駐車場に駐車している入居者Bの乗用車に傷をつけました。入居者Bは当社の管理責任を問うていますが、賠償責任はありますか。
(A)当該駐車場にて子供が他人の財産物であるところの車両に傷をつけないよう注意する義務が賃貸人又は管理会社に果たしてあるか、賃貸人又は管理会社の責任の及ぶ範囲は何処までかが問われると思います。
1.設置管理義務
契約類型如何を問わず、賃貸人の義務は賃貸目的物たる当該駐車場を車両の格納場所として良好な利用環境を維持し使用させる義務を負っていると考えられます。
たとえば、屋根なし砂利引きで白線による区分けと簡易な輪留め程度の駐車場などで、雑草や枯れ草を放置して当該敷地が荒れ放題となり、それが原因となって火災、衣服履き物の汚れ、などがあった場合や、部外者が容易に立ち入ることを制止抑制する措置を施しておらず、立入り権限のない子供が当該敷地に入りボール遊び等で車両に傷をつけたなどの場合や、老朽化した敷地と公道とのフェンスが倒れ車両に傷がついたなどの場合には、賃貸人が平穏な利用環境を提供するべき管理責任を怠っているといえなくもありません。これは予測可能性の問題でもあります。
2.すると、当該駐車場への立入り権限がある賃借人の子供が他の賃借人車両を故意に傷つけないよう何らかの注意を促すような措置を施すことまでを賃貸人の管理義務に含めることは、若干賃貸人の義務としては過重で過酷なのではないかと思われます。
3.また、貸主は複数の借主と個々に賃貸借契約を結んでおり、借主相互間には何の契約関係がないかという前提において、借主相互間で生じた事故においては当事者間で問題を解決していただくことが、法的にも社会生活一般の常識としても理に適っているのではないかと思われます。
4.『当駐車場をご利用の皆様へ、駐車中の自動車については、賃貸人の責めに帰すべからざる事由により発生した天災、火災、盗難、賃借人間によるトラブル(賃貸人の子らによる損傷)等による損害について、貸主は一切の責任を負わないものとしますので、お子様には駐車場にて遊ばないようよろしくご指導ください』等文書を回覧することも考えられます。